基礎学力と勤労観・労働観
(平成22年7月23日釧路新聞「経営のツボ」掲載)早いもので、このコラムの担当も5回目になります。今回は、話が少しばかり脱線してしまうことをお許し下さい。「雇用のミスマッチ」という言葉があります。
- 需要はありながら、それを満たすだけの人材がいないこと。
- 被用者(雇われた人間)が、個人の適性に合わない雇用状態(仕事が合わない状態)にあること。
前者は「経済用語」として、後者は「教育用語」として用いられるケースが多く、一般には後者の意味で使われることが多いようです。しかしながら、我が愛する釧路では、経営者から前者を聞かされることも多いものです。
言うまでもないことですが、学校教育は社会へ巣立つための通過点でしかありません。学力の高低などよりも、個々人の人間性、正しい勤労観・労働観といったものの方が、社会人の資質として遥かに重要な要素です。ところがこのご時世、最低限の基礎学力が身に付いていなければ、そもそも就業の機会を得ることすらできません。全国的に子ども達の学力低下が叫ばれて久しく経ちますが、それはすなわち、将来の労働力の質の低下・国際競争力の低下を意味します。
言い難いことですが、道内の主要都市である我が釧路は、他の主要都市と比べて20年も30年もの昔から子ども達の学力が格段に低い街です。さて、勤労観・労働観というものが正しく養われていないのであれば、こちらも良質な労働力にはなり得ません。基礎学力と正しい勤労観・労働観。その双方が欠けていたならば、実に大きな不幸であり、それは負の連鎖を呼ぶ悲しき悪循環の最たるものです。
地域の将来を担うのは、その地域の子ども達です。この地域の長引く経済低迷の大きな原因の一つに、従来から続いている低い公教育水準が挙げられると考えます。人材育成のための投資たる地元の子ども達の基礎学力向上策を長らく怠ってきたことと、その前例踏襲型行政から脱却できないこの地の教育行政。地域経済復興のためには、質の高い労働力を地域社会に提供し続けることが不可欠であると言えます。
全国各地で、学力向上に加え正しい勤労観・職業観を育むための教育の重要性が認識されつつあります。私は、社会保険労務士・行政書士事務所を営む一方で学習塾を経営しております。この地域の子ども達の基礎学力の底上げと、健全な勤労観・職業観を育むための教育の実施を、社会保険労務士として学習塾経営者として切に願う次第です。この街の再生は、この街の公教育にかかっています。