離婚時の年金分割
(平成22年6月4日釧路新聞「経営のツボ」掲載)今回は、一時期ワイドショーを賑わせた感のある離婚時の年金分割についてです。 離婚時の年金分割は次の2種類があります。
②3号分割(平成20年4月1日から実施)
この制度を用いることができるのは、平成19年4月1日以後に離婚した場合や事実婚関係を解消した場合になり、同年3月以前の場合は対象になりません。
また、この制度は年金額そのものを分割するように思われがちですが「年金額を分割するものではなく婚姻期間中の標準給与の月額等(掛金の算定基礎となる標準給与の月額と標準賞与の額をいいます)を当事者間で分割する制度」であり、すなわち婚姻期間中に厚生年金(共済年金)に加入している(加入していた)ことが前提になります。
また、分割後に年金を受給するには、それぞれが年金の受給要件(支給開始年齢や、受給資格期間〈分割を受けた期間を除きます〉)を満たすことが必要です。したがって、すでに年金を受給している人から分割を受けたからといって、ただちに年金を受給できるわけではありません。
「夫が会社勤めをしていて厚生年金に加入中であり、妻は結婚以後第3号被保険者である」ケースを例にとって説明します。
仮に、本日平成22年6月4日に離婚が成立したとします。
この場合①によって、平成20年3月31日までの婚姻期間は「当事者の合意や裁判手続により年金分割を定めたこと」によりその合意又は裁判手続により定められた年金分割の割合(上限50%)に基づき分割されます。
平成20年4月1日以後、平成22年5月(離婚時の前月までの期間が分割の対象)までは、②により第3号被保険者期間部分のみ分割の対象になり、分割の割合は50%に定められています。
以上を整理すると、平成20年3月31日までの婚姻期間は当事者の合意(裁判手続)により年金分割の割合(上限50%)が定められ、平成20年4月1日以後の婚姻期間の分割割合は50%に定められることになります。(実際には双方とも50%となる場合が大半だと思われます)
①については当事者の一方による請求が、②については被扶養配偶者として第3号被保険者であった方による請求(先ほどの例では妻)が必要です。
以前は公正証書か公証人の認証を受けた合意文書が必要でしたが、現在は公証人の認証を受けないでも当事者双方がそろって(代理人でも可)合意書を社会保険事務所に直接提出する方法でもよいことになりました。
年金分割請求権は離婚した日の翌日から起算して2年を経過すると時効になる点には注意が必要です。