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解雇権濫用法理

(平成21年11月6日釧路新聞「経営のツボ」掲載)

解雇権濫用法理という法律用語をご存知でしょうか。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」というものです。
これは最高裁判所で従来から確立している法理ですが、解雇をめぐる労使紛争が増加していることから、広く周知させる目的で、現在は労働契約法第16条(旧労働基準法第18条の2)において明文化されています。
解雇とは使用者の一方的意思表示により雇用契約を解除することをいいます。「使用者には解雇の自由がある」「法律に特別の定めがない限り使用者の解雇権行使は制約されない」と考える経営者も少なからず存在しますが、解雇が適法であるためには「客観的に合理的な理由」が存在しなければなりません。そしてその「客観的に合理的な理由」の存在を主張して立証する責任は他ならぬ使用者側に課せられています。会社の経営不振等を理由とする「整理解雇」についても、裁判例によっていわゆる整理解雇の四要件が示されており、整理解雇は以下の要件すべてに該当しなければ無効となります。

①人員整理の必要性。
②解雇回避努力義務の履行。
③被解雇者選定の合理性。
④手続の妥当性。

解雇無効確認訴訟を経て解雇が無効とされるとどうなるでしょうか。解雇自体が無効となるなわけですから従業員としての地位は存在し続け、その間の賃金を支払う義務が使用者に生じます。
さて、解雇がいかにデリケートな問題であるかがお分かりいただけたと思います。労働基準法の改正により、現在、使用者には以下の事項が義務付けられています。

①就業規則作成義務を負う使用者に対して、解雇事由を「退職に関する事項」の一環として就業規則に記載すること。
②解雇事由は、労働契約締結時に書面をもって労働者に明示すること。
③労働者を解雇した使用者は、解雇された労働者から請求があった場合、当該解雇の理由を記載した証明書を発行すること。(この規定は解雇予告期間中も適用がある)

①の規定により、就業規則には「解雇の具体的な事由」を記載することが必要となり、従業員を解雇しようと思っても、就業規則に具体的にその事由が記載されていなければ事実上解雇できないことにもなりかねません。さて、御社の就業規則には「解雇の具体的な事由」は列挙されていますか?
トラブルを避けるためにも、社内においての解雇をめぐるルールを明確に規定しておくことをおすすめします。ところで社長。「クビだ!」の一言は、以後ご法度ですよ!